2016年3月23日(水)、下記の問題認識から、連合千葉としても千葉県に対して「奨学金制度の周知・広報」と「奨学金制度の拡充」について要請を行いました。
【連合の問題認識】
子どもたちが、経済的理由によって十分な教育機会を得ることができずに、職業能力を身につけられないことや、奨学金返済のために生活困窮に陥ることは、「貧困の連鎖」につながり、公的支援もまた引き継がれることを意味しています。
日本では、1998年以降下がり続ける保護者の賃金収入と、相反して上がり続ける大学の学費により、学生は奨学金を借りなければ大学に通うことが困難になっています。
連合が、2015年10月に行った「大学生・院生の保護者の教育費負担に関する調査」においても、世帯年収が200万円〜400万円の低所得世帯の学生の6割以上が奨学金を利用しており、しかも、奨学金を利用している大学生・院生の借入総額は平均301.8万円と、卒業後の奨学金返済が大きな負担となっていることが明らかになっています。
また、国の奨学金制度を運営・管理する「独立行政法人日本学生支援機構」によれば、2014年度実績では135万人(無利子奨学金47万人、有利子奨学金88万人)が同機構の奨学金を利用しており、これは、全国の大学生のほぼ2人に1人にあたります。他方で、返還困難者が高位に推移していることも問題です。
国は2014年4月に、返還猶予期間を5年から10年に延長するとともに、延滞金の賦課率を10%から5%に引き下げましたが、2014年度の実績では5,039人が返還猶予、17,279人が3ヶ月以上の延滞の状態となり延滞金を課されるなど、奨学金貸与を受けた学生が経済的困窮に陥る問題は依然として残されています。
こうした実態は、学ぶ意欲と能力をもった貧困世帯の子どもが高等教育を受けることにより、相対的に高い職業能力を身につけたとしても、貧困から脱することができない状況を生む可能性を示唆しています。貧困や格差が拡大し、国民全体の「底上げ・底支え」が求められる中、高額化する大学の学費の是正とともに、奨学金返済により生活困窮に陥ることがないよう、制度の充実・改善をはかることが急務です。 |
※要請内容の詳細は要請書を参照してください
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(写真)要請書の手交
左:連合千葉 鈴木会長
右:千葉県 内藤教育長 |