本大会は、ようやく、ご来賓のみなさまにもお越しいただく形態で
開催する運びとなりました。これまでのみなさまのご努力、ご理解とご協力に感謝と敬意を表します。
大会の冒頭にあたり、今期の振り返り、情勢認識等に触れ、挨拶に代えたいと思います。
【国際情勢について】
世界各地では戦争、紛争が絶えまなく続いており、全世界的な分断と緊張を一層高めています。日本の立ち位置は、先進国の中でも戦争の悲惨さを体験している立場からも、平和的解決、人道支援に大きな役割を担わなければならないと考えます。戦争は、何の落ち度が無い民間人が真っ先に犠牲になります。武力的な行使は結果、何を生むのでしょうか?経済活動、私たちが推進する労働運動も、平和な社会があってこそです。
連合はナショナルセンター・労働組合の立場における一刻も早い争いの事態の収束と人道支援への取り組みとして、連合本部、ITUC:国際労働組合総連合などとも連携を図り、平和な社会の実現に向け取り組んでまいります。
【2023春季生活闘争】
春季生活闘争には、大きく二つの効果、意義があると考えます。
一つは、働く者すべてに波及させる賃上げの効果です。今次春闘では、賃上げ率ではほぼ30年ぶりの水準と
なる賃上げの実現を果たしました。また、今年の地域別最低賃金は、千葉県では1,026円、42円の上乗せという
過去に例のない水準で、10月1日より発効されています。
一方、私たちの生活は、豊かになっているでしょうか?実質賃金の低下に見られるとおり、相次ぐ物価上昇に
よって、特に経済的に弱い立場の方々は、物価上昇が生活を直撃し、厳しい境遇に置かれている方も多く存在します。
また、長引くコロナ禍による影響などによって、厳しい業績の業種・業態との格差も広がっています。経済の
活性化、付加価値に見合った価格転嫁、社会保障などセーフティーネットの充実には、継続的な賃上げを原動力
とした社会構造の転換が必要であり、今次春闘の成果を継続的に続けていく必要があります。連合は、次期春季
生活闘争における賃上げ目標を「5%程度」から「5%以上」とする基本構想を確認したところです。
また、最低賃金をはじめとしたセーフティーネットの充実、金融政策や効果的な支援策などの公的な対応も
必要です。連合千葉としても、審議会など社会対話の場を積極的に活用し、働く者の立場で意見提言などに
積極的に取り組みます。そのためには信頼される組織でなければならない、という事を常に意識し、あらゆる
関係性の構築に繋げていきたいと考えています。
もう一つは組織強化の点です。社会全体での賃上げの機運が高まっていますが、この機運をつくりあげたのも、労働組合が取り組む春闘がクローズアップされたことによるものであり、人への投資に拘った構成組織の粘り
強い交渉の成果の賜物であります。
また、高年齢期の働き方、人手不足の対応など働き方に係わる事項についても改善に向けた取り組みが図られています。そのけん引役を担うのは連合であり労働組合です。賃上げはもとより、これから本格化していく労働市場改革など、働く者にとって極めて重要な大きな変革の波にありますが、このような時だからこそ、働く者が結集した労働組合の力が重要な意味を持ちます。
組合員からの期待も、これまで以上に高まっていると認識しています。春闘の成果一つとっても「組合があって良かった」「組合に入っていて良かった」と思ってもらう絶好の契機であるとも言えます。組織拡大は、働く者の声、発言力を高めるための最大の武器であるとともに、集団的労使関係によって働く者を守ることにも寄与します。
連合千葉としても今回の春闘の成果や社会構造的な課題への取り組みについて、世論喚起や政策アプローチなどを通じ労働組合・連合の取り組みの必要性を訴えてまいります。
【ジェンダー平等の推進】
連合は結成時から男女平等社会の実現に取組んできました。今期からは性差だけではなくあらゆる差別を無くし多様性を尊重する「ジェンダー平等推進」とし、運動の重点分野に位置づけています。とはいえ、男女平等が進んできたか、と言えば残念ながらそうとは言えません。ジェンダーギャップ指数では経済分野、政治分野など、
諸外国と比較しても圧倒的に遅れています。働く職場においても賃金や管理職登用など男女間格差は未だ多く存在します。
また、労働組合の視点でみると、意思決定の場に女性が圧倒的に少ない実態にあります。職場では多くの女性が働いており、政策・制度、労働条件向上、社会保障の充実などには、そこで働く当事者の視点を取り入れていく事が欠かせません。
また、労働組合の役員登用については男女問わず苦慮されているとも伺っていますが、とりわけ女性の参画が進んでいないことについては深堀りをしていかなければならない、と思っています。個々の家庭環境や人事に係わること、男性が役員を担う事が当たり前といった意識面など様々なハードルがありますが、一つ一つの解決策を見出し、男女で言えば、せめて組織人員比率に見合った役員登用に向けた努力が必要であると思います。これまでの固定的な概念を、少しでも、少しづつでも取り払いながら、前進させていきたいと考えています。
【政策実現・政治活動】
17期に執行された各級選挙では多くの推薦候補が当選し、とりわけ連合千葉が推薦した組織内候補「全員」の
当選を果たすことができました。組織内議員は、私たちが掲げる政策を誰よりも理解する方であり仲間でもあります。私たちが政治活動に携わる目的である政策実現の前進、組織内候補最優先とする連合千葉の方針と照らし合わせても、大変価値のある結果であると思います。
一方、投票率の低位が顕著になっています。政治への関心や期待感の低下が挙げられますが、連合組合員にも
同様の傾向がみられることが危惧されます。「政策実現の前進」を根底に、人物本位で推薦した候補者への支援への取り組みにご理解とご協力をお願いいたします。
【関東大震災から100年】
千葉県では4年前に相次ぐ大型台風の上陸・接近により大きな被害を受けました。また、今年9月には台風接近に伴う線状降水帯が県内に停滞し、広範囲で床上浸水や土砂崩れによる道路の通行止めなどが発生しています。今年は猛暑が続きました。このように「過去に例のない」といった自然現象が、当たり前になりつつあり、これからも続くと想定されます。
私たちに何ができるか、何をしておかなければならないか、これまでの教訓を風化させることなく行動しておくことが必要であると思います。「備え」「支援」「環境への配慮」など、一人ひとりでできること、組織として取り組むこと、様々なケースに対応できる準備とともに、「共助」の思いを忘れずに、みなさまとともに行動していきたいと思います。
【連合評価委員会最終報告から20年】
20年前と今の状況を見比べてみると、社会情勢の変化はありつつも、課題感は全くと言っていいほど変わっていない、むしろ、コロナ禍によって活動を制約せざるを得なかった期間が長かったことによって、労働運動が後退してしまったのではないか、との危機感からも、今一度、運動を振り返り原点に立ち返る必要があると思っています。
組合員はもとより社会に共感が得られる運動を展開できるか、これが連合の存在意義でもあります。社会対話を重ね、地道に、かつ変化やニーズに応じ、存在意義を高めていく必要性を、ことさら強く感じています。
【結びに】
本大会で向こう2年間の運動方針を提起いたしますが、思いや課題感を共通認識として、更なる「結集」に資する契機としたいと思っています。ともに頑張りましょう!
以 上 |